第7章までの話はいかがでしたか?
なんか、うちのビジネスコンセプトというか、ビジネスをする上で生かせないかなぁ~と思っているのですが。たとえば、システムをリフォームしたいなぁと思っている会社も、どう変えたいかという具体的なニーズはなく、もっと会社の効率化を図りたいなぁとか感じているだけで。
そういうお客がISSCのHPを見て、「そうそうこんな会社を探していたんだ~」とか「この会社のビジネススタイルが理想なんだ~」とか思えるHPを見せてあげると、おぉ~これこれ!などということにはならないかなぁと思ったりしています。例えばの話ですが・・。そして、受注して構築するシステムはその想像を更に超えるものを設計提案してあげると、きっと感動に変わるのかなぁと思うのですが・・ちょっと編集長の理想を言ってみました。
話を続けます。第8章からですね。では始まります。
第8章 これからは価値を伝えることが重要です。
消費者は欲しいものを選べません。だったら、あなたが選んであげればいいのです。これからは、価値を伝えてください。セレクトショップって知っていますか?
「BEAMS」「ユナイテッド・アローズ」「タイム&スタイル」「コンランショップ」などで、ブランドでなく、感性や趣味によって品揃えをしているお店です。パンツや雑貨などで、バラバラのブランドのものがあり、でも買っていくとバラバラなのに、スタイルイメージが統一されていて、「カッコイイ」ってことになるのです。ものを売っているのではなく、ライフスタイルを売っていて、消費者は疑似体験して買っているのです。セレクトショップが消費者のハートをつかむ理由はこれです。
エルメスとユニクロというと、我々は「消費の二極化」だよなと言っておしまいになります。しかし、よく考えると共通点があります。それは、「価値の分かりやすさ」です。
エルメスは絶大な品質の信用があり、ユニクロには、安くても品質が良いということが浸透しています。モノが氾濫している時代だからこそ、価値のわかりやすいものが売れているのです。従来の「何でもあります百貨店」はもう通用しません。いくら品揃えが幅広くてもダメで、百貨店こそ「体験」や「ライフスタイル」を売らなくてはいけないと思います。既にいろいろな試みをしている百貨店が出てきていますが・・。
「伊勢丹BPQCの地下2F」は、是非行って見て下さい。先取り百貨店です。
第9章 個性化は、競争の排除につながる。
セレクトショップは、徹底的な個性化によって、消費者がその個性を買っているという図式だと思います。個性化は今後のビジネスのキーワードだと思います。
ビジネスにおける最高の戦略とは、相手より優位な商品開発・サービスの充実・低価格化などを発想しますが、答えは「競争の排除」です。競合他社をターゲットにして、追いつけ追い越せでは、無駄だし、勝てません。(強力な資金力があれば別ですが)
マクドナルドの目標は、シェア100%だそうです。そんな会社に、低価格攻勢に対抗して、頑張っても、太刀打ちできないでしょう。おまけに、更に「バイオーダー化」を目指すなどと言ってますから・・。でも、2番手以降でもしっかり売上・利益を上げているお店があります。例えば、青山・お台場の高級ハンバーガーショップです。炭火で焼いた熱々パテに新鮮な野菜や独特の特性ソースや香ばしいパンに、飲み物がついて\1200也。店舗もテーマに合わせて、ディナーを食べているような雰囲気なのですが、これこそが競争の排除なのです。
よくある、価格競争の温泉ホテル。安売り競争で一見得するように感じる消費者ですが、結局ホテル同士が地獄に落ちて、サービスも食事もその程度になってしまっています。そんな中で、\1000円値上げを打ち出した温泉ホテルがあります。ただし、この\1000円は全てお客様の料理の材料に使いますという約束です。材料\1000円ですから、末端価格は、3000円~4000円の価値があるわけです。これ、受けました。
他人とは違う、他者とは違うことをやって、競争の排除を目指すことが重要です。
第10章 「なんかいいよね」で終わるのはやめましょう。
「なんかいいよねぇ~」「なんかステキだよねぇ~」「なんかかっこいいよねぇ~」「う~ん楽しいぞぅ~」なんて感じることありますよね。もし、最近無いようなら、いろいろ体験のために動いたほうがいいです。これ、本当。自分が感動しないと、相手を感動させられませんからね。で、言いたいのは、この言葉だけで終わるのはやめましょう!
ということなのです。
これからは、「何故かなぁ~」と考えてみませんか。
普段の生活の中でちょっとした感動の裏にあるものを感じ取ることは、新たなビジネスのネタになるのです。
第11章 リピーターが来る店、来ない店
「お客に誠心誠意尽くしてサービスすれば、きっとまた来店してくれる」とよく言いますが、これ間違いです。「とっても美味しかったわ。また来ます。」といって、次に来るお客さんは、20%もありません。お客様がウソを言ったわけではないのです。美味しい料理や温かいサービスに満足はしているのですが、忘れてしまったというのが原因です。
リピーターを増やすには、料理やサービス以上に内装やディスプレイで個性を出すほうが、簡単で効果があります。うちは、料理の味で勝負する!!というお店もあるでしょう。
が、その程度の店で終わってしまいます。
アリゾナ州ツーソンにあるレストランの話です。このレストランは、ステーキ屋なのですが、「カウボーイ」をテーマにした、テーマレストランです。インテリアは西部劇の酒場やホテル・銀行をイメージし、ウエイトレスやウエイターもそれっぽい格好をしています。一歩店内に入った瞬間から、別世界に来た感じで、全てが演出されています。
12ドル99セントの特大ステーキは、炭火焼で素晴らしいのですが、このレストランには、もっと驚くことがあるのです。それは、天井から吊るされた何千本というネクタイなのです。それぞれに名前と日付が書かれた紙が留められています。
その内、白いウェスタンハット、白いブーツ、ジーンズ姿の美人ウエイトレスが大きなベルを鳴らしながら一人のお客のところに行きます。ウエイトレスは、その客のネクタイを持ち上げみんなの視線を集めた上で、「カウボーイなのに、軟弱なネクタイなんかして」と言いながら、笑顔のままそのネクタイをハサミで切ってしまうのです。そして切ったネクタイを右手で掲げると、店内から全員の拍手が沸き起こります。隣では、孫がおじいちゃんとニコニコ笑いながら、手を上げて応えます。今日は誕生日か何かだったのでしょう。
この店、口コミですごい人気なのです。料理も美味しいのですが、忘れられないものを与えているのです。
内容は違いますが、基本的には同じように口コミで広がる餃子やさんの話です。
「紅虎餃子房」って知ってますか?
聞いたことがありそうですよね。ここの鉄鍋餃子がそれです。私は食べたことが無いので何ともいえませんが、とにかく一度食べると、誰かを連れてきて、話したくて仕方なくなる餃子らしいです。そういうと期待して行きますよね。ガッカリするんじゃないの?と言うと思うのですが、これが期待を裏切って、すげぇ~と言う具合になるらしいのです。で、また、連れて行かれた人が、自分の知人を連れて行って話をしたくなるらしいんです。これもすごいですよね。行ってみますか???
第12章 ラーメンと牛丼の違いって何??
牛丼屋のとなりに牛丼屋ができると価格競争して結構大変になりますよね。食べる我々にとってはラッキーですが、お店は地獄でしょうね。でも、ラーメン屋っていうのは、何件か寄り集まると、返ってお客がたくさん来るし、価格競争なんてしないし、ドンドン売れる環境になりますよね。札幌ラーメン横丁とか、博多長浜の屋台ラーメンとか、ラーメン博物館とか、いろいろな土地で結構ラーメン店が集まって、相乗効果を発揮しています。
おまけに、この不況なのにラーメンの値段はぜんぜん下がらないですよね。飲んだ後に、屋台のラーメンでおまけに立ったままのスタイルで900円も払ってラーメン食べて・・
でも、思いませんか? うめぇ~って、やっぱり飲んだ後はこれだよなぁ~なんて言ってませんか? 満足してますよね。そう、違いは「満足感」の違いなのです。
心も体も温めてくれる、何と言うか「幸福感」を感じますよね。
満足体験や幸福体験はそれだけで価値になり、口コミで人に伝えたくなります。
つづく
ISSCコラム編集長 有松勝美
★次回、最終回です。このシリーズの最終回です。コラムは当然つづきます。