
代表が思いのまま記載するコラム

「不のマーケティング」 その5
ISSC コラムNO.14
前回「その1」「その2」「その3」「その4」のつづきです。 いよいよ最終回となります。
■「不」のマーケティングで会社を変える。
**会社の理念を180゜変える。**
会社の理念や社是の中で一番多いのは「顧客第一主義」「ユーザー志向」です。お客様を第一に考えるのは、至極当然のことなのですが、なぜか本当に?と疑いたくなるのが多いのも事実です。実際にISSCにおいてでも、本当に浸透できているのかという自信は・・?ですね。お客様のニーズに基づいて作った、商品やサービスで、お客様に役に立つ事を考えている。これが顧客第一主義の基本だと思います。でも、このニーズが「シーズ」となっている会社ばかりではないでしょうか。
シーズ:「種」です。自社の持っている技術やノウハウに基づいた開発になっていて、消費者が本当に必要としているかどうかは、あくまで推測としてしか捉えていないのではないかということです。
「お客様は神様です」は、三波春夫の言葉で大流行しました。ある店頭でお客が店員にクレームをつけています。店員は困って店長らしき人に相談。店長らしき人は、お客に「大変申し訳ありません、これからはそのような事がないように努力いたします。」と、・・。その場はまるく収まり、シャンシャンで、次の瞬間から努力しますの言葉は忘れ去り、結局何もしません。
これが、「お客様は神様です」の裏にある企業の本音ではないでしょうか。
顧客第一主義・消費者志向・ユーザー志向などの言葉の裏にある実態は、企業の理論を優先して一方的に商品やサービスを送り込むことを、正当化する言葉に過ぎないという事です。
**商品・サービスづくりの出発点をすっかり変えよう。**
「企業は、人・物・金・情報の経営資源を使って生産やサービス活動を行い、利益を獲得する」ということは、皆さん承知している事です。ここで、情報を単なる情報でなく、「不の情報」としてはどうでしょうか。おそらく、これからは3要素以上に不の情報が不可欠の資源になると思います。
ここで、ある人が独立して事業を興すことを考えたとしましょう。資金は多少なりともOK,人は自分がいるし、人脈も広い,採用活動にも自信がある。あとは、何をやるかです。それまでの経験を生かす事業。経験よりも市場に対する読みを信じる事業などで、以前は、成功する例が多くありました。物が不足した時代では、不の情報が氾濫していたために、簡単に手に入ったのだと思います。あとは、商売の才覚があれば、事業を伸ばす事ができたわけです。
これから事業をやろうとしたときには、いかに正確な不の情報を持っているかが、大きく左右するのではないかと思います。
かつてベンチャー企業が多くつぶれた背景の一つとして言えることは、「私にはこういう技術がある」「こういう大発明をしたい。」「これなら大もうけできそうだ」などの、シーズありきの考え方がベースにあったのではないかと思います。顧客第一主義=不の情報第一主義と考えてはどうでしょうか。
**不の情報は全社的な取組みで**
不の情報に基づく商品開発やサービスの開発が重要な事は判っていただけたと思います。不の情報は、個人個人がアンテナを伸ばして収集することが必要ですが、会社としての姿勢が根本的に大事な事でしょう。また、収集した不の情報は全てが有効なわけではありませんから、必要な情報の選択と吟味を会社として行うしくみが必要だと思います。
価値ある不の情報を生かせるのかどうかこそが、会社の力だと思います。今後の仕事をしていく中で、または、フライベートな時間の中で、不の情報の収集を心掛けてもらいたいことと、ビジネスの企画や提案を聞いたり、行ったりするときの評価の視点として、不の情報に照らし合わせる事も、大事な事だと思います。
不のマーケティング理論を少しは判ってもらえたでしょうか?
完!!!
★今回のシリーズはちょっと大作でした。製作側の自己満足だけはありますが・・・
次回の対策の挑戦では、読者として是非ご協力ください。
ISSCコラム編集長 有松勝美
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