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代表が思いのまま記載するコラム

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「不のマーケティング」 その3

ISSC コラムNO.12

前回「その1」「その2」のつづきです。

**ターゲットにすべきは「花芽ニーズ」**
  ターゲットにすべき顧客の不満要因を考えた結果、たどり着いたものが、「花芽ニーズ」いう視点です。これは、顧客の中で心理的な不満要因がくすぶっている状態を指します。
まだ、顧客自信もニーズを感じていないし、不満も明らかになっていないが、外からの刺激によって気づき、やがて「不満を解消したいと」いう欲求を起こすものです。
  つぎにターゲットとすべき顧客の不満要因は、「つぼみニーズ」という視点のものです。これは、顧客がはっきりした不満要因を持ち始めた段階の状態を指します。不満を解消してくれる商品やサービスを探す意識が芽生えている状況で、外からの刺激により、一挙に購買欲求が高まり、購買行動へと走る可能性を秘めています。
  一般的な言葉で表現すると、花芽ニーズとは、潜在ニーズであり、つぼみニーズとは、顕在ニーズといえますが、大事な事は表面的な言葉で捉えるのではなく、本質的な不満要因に基づく発想の転換をする事です。
☆花芽やつぼみを過ぎると「満開ニーズ」になりますが、このときには誰の目にも止まることになり、売り手側がドット押し寄せる事になります。これが企業競争を起こすことになり、利益をどんどん減らす事になっていきます。
**DAIDMACで成功した事例**
<アプローチの最初の一言を変えて成功>

  工作機械の代理店のセールスマン K氏は、アプローチの際の最初の一言を変えて成功しました。今までは、「こういう機械があるのですが、いかがですか?」という入り方をしていましたが、「お使いになっている機械の調子はどうですか?不都合や不便を感じていることはありませんか?」に変えた途端に、お客様が結構話をしてくれるようになり、その結果不満を解消できる提案をする事で、良好な関係を築け、他のメーカーからラインの一部を切り替えてくれたり、提案を丸ごと採用してくれたりと、30%UPの成績を残す事ができるようになりました。
<不のリサーチがシェア拡大のきっかけ>
  日本電池の営業マン Y氏は、支店技術員の時に最終ユーザーのJR西日本の岡山=>下関間の電力区を、片っ端から巡回訪問して、ユーザーの使用状況と他社のサービス体制や普段感じている不満や不便を徹底して確認しました。その時に一緒に他社製品における不満も確認を行いました。これによって、他社の不満足な製品分野における、提案を具体化して示していった事で、自社製品への切り替えができたのです。もちろん、自社製品の改良により、ユーザー評価を上げ、親派になってもらうこともできました。
<不のリサーチも見え見えでは失敗>
  このようなアプローチは、生命保険などの勧誘でもよく見られます。ただ、単なる手段として使っていると、ユーザーは振り向いてくれません。不満要因を聞き出すというより、初めから自社の製品やサービスを勧めようというハラが見え見えになっているから、調査に答えようという気持ちが湧いてこないのだと思います。たとえば、2~3の状況質問を重ねた後、○○について詳しい資料を見てみたいですか?などと振り向けると、途端に拒否反応が出てきます。
  調査はあくまでプレアプローチです。徹底して「不の情報」を聞いてあげることに徹するべきでしょう。
**キーマンは誰 ? **
営業マンが相手にするお客様はいろいろなタイプがいます。会社の中の担当者にしろ、一般家庭の主婦やご主人にせよ、皆人間であるから個性があるのは当然だと思います。営業マンにとってアプローチしやすい人とはどんな人でしょうか。
  断り上手の人の良いタイプ,人に優しくよく話を聞いてくれるタイプ,何でもOKしてくれる太っ腹なタイプ ? 多くのセールスマンはYESだと思いますが、実はこういうタイプの人たちは、クロージングの段階でのらりくらりと話をかわし、なかなか判を押してくれない人が少なくないのです。
実はみなさんがイヤなタイプだと思う人こそ、大いに話をした方が、結果はついてくることが多いものです。日頃から何かにつけて文句をつけたり、不満を述べたり、批判したりするタイプで、「あの人はうるさい」と毛嫌いされているような人です。
このうるさ型のタイプの人と話をしていると、とにかく初めから文句が出てきます。次から次へと不満やら、批判やらを言ってきます。実はこれがチャンスなのです。まずは、じっとその人の話を聞くことです。10分でも20分でも、うなずきながら、時には相槌を打ちながら、余計な話や反論はしないで、ただひたすらに聞きます。とにかく聞いていると、ときどき別の会社の製品や営業マンまで批判する事もあります。もちろん提案しようとしているまさにその製品やサービスに対する不満なども、聞くことができます。聞いた後では、お礼を言って、あくまでヒヤリングをして帰るだけにすることが、大事な事です。最後に、ご指摘いただいた内容については是非改めてご報告する事を付け加える事が大事です。
  このような流れから本アプローチに結び付けていく事ができます。うるさ型の人は、DAIDMACのプロセスに入れやすい人なのです。うるさ型の人は、元来話し好きな人が多く、言いたい事が心の中に積もっています。また、良く気がつきます。気が付くから次から次えと文句が出てくるのです。
よく気がつくというのは、問題意識が旺盛だからで、物事に対して常に自分のあるべき論を持っていて、それと現実とのギャップをいつも感じているのです。まさに不満要因の宝庫です。

つづく

ISSCコラム編集長 有松勝美

★今回の「不のマーケティング」は、興味の無い人もいるでしょうね。反省です。でも最後まで完走します。よろしく!!
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