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代表が思いのまま記載するコラム

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「夢の実現」

コラムNO.1

いろいろな人の人生の中で、戦略的で計画的な動きによって夢を実現し、成功する場合がある一方で、場当たり的にいろいろなものを試し、うまくいったものだけを残して成功する場合もあります。あなたはどちらのタイプですか?
コラムの記念すべき第一回は、前者、戦略的に人生を設計して夢の実現をした代表的な人物「シュリーマン」の話をしてみたいと思います。



●トロイの遺跡を知っていますか?シュリーマンはこのトロイの遺跡を発掘した人物です。彼の夢にかける情熱と、68年間の生涯を自らのプログラム通りに生きた戦略性はちょっと驚きです。では物語を始めましょう。
●ドイツ人・シュリーマンは、子供の頃父親から何度も聞かされた「ホメロスの物語」を忘れることが出来ませんでした。それは3000年以上も前のギリシャとトロイの戦争物語でした。まるで神話のような大昔の話です。やがて彼は「ギリシャに滅ぼされたトロイの遺跡が必ずある」と信じるようになりました。そして、「トロイの遺跡の発掘」を人生の最終目標にしたのです。
● それからの彼の行動が現代人の私たちと違うところです。彼は人生を逆算方式で生きることを決意しました。
⊿最終目標…トロイの遺跡発掘
⊿中間目標…発掘資金と時間を確保するために莫大な富を蓄積する。
⊿短期目標…貿易商人になる。
⊿手段  …貿易に必要な語学をマスターする。
●夢に向けた最初のステップ、それは14歳の時でした。商業学校を卒業し、遠くの村の食料雑貨店で働きました。朝5時から夜11時までコマネズミのように働きながらも、ホメロスの物語を自分で読むために、ギリシャ語の勉強を志しました。しかし、現実は厳しく、勉強のための本を買うお金も時間もなく、働きつづけやがて健康を害して退職する羽目になってしまいました。
●雑貨店を辞めた彼は、外国へ行く船のボーイになりましたが、そこでも彼を待ち受けていたのは「不運と不幸」でしかありませんでした。乗った船が嵐で沈没し、丸裸でオランダの海岸に打ち上げられたのです。そのときシュリーマンは20歳!彼の前途には、希望の光は一筋もなかったのです。
●しかし、夢をあきらめないシュリーマンにとって、丸裸で流れ着いたオランダが、彼を大商人へと導く大地だったのです。その後の4年間で、彼は18ケ国語をマスターし、貿易会社のロシア店を任されるまでに出世しました。そこから更に10年の期間で彼は大商人となり、トロイの遺跡を発掘する資金を充分に確保したのです。
このときシュリーマンは36歳でした。
●そして、彼は36歳~44歳までの8年間、遺跡発掘の前に世界のことを見ておこうと決意して世界旅行に出ました。シュリーマンの面白い考え方です。実は江戸幕末の頃の日本にも訪れており、日本のサムライの精神にいたく感銘した内容が著書にも書かれています。
●さて、いよいよ念願がかなって、ホメロスの物語を信じた遺跡発掘開始となるのです。
この時シュリーマン49歳 ヒッサリクの丘に立ったのです。
この丘の地下にトロイの遺跡が眠ると信じた彼は、いよいよ人生の最終目標に向けて挑戦を開始しました。そうした彼の行動に対して、多くの考古学者は、「ホメロスの物語を信じて大金を使うなんてバカげた話さ」と陰口をたたきあっていました。穴掘り労働者150人の誰一人として、遺跡を信じている人間などいないありさまでした。
●いままで語学やビジネスに熱中することはあっても、自分の夢を決して忘れなかったシュリーマン。そんな彼にとって、他人のうわさや批判などは全然気になりませんでした。燃えるように暑い日も、凍るように寒い日も、ヒッサリクの小屋を拠点に発掘をつづけました。それは「毎日タマネギの皮をむくような仕事だった」と後に語っています。
●そうして2年が経過しました。ある日の午後「シュリーマンさ~ん、何か変なものが出てきました!」と、穴掘り労働者の声。駆けつけてみると、それは城壁のようなものであり、さらに掘っていくと神殿や宮殿に通じた道も見つかりました。やがて土の中からキラリと光るものが現れました。
●それは、黄金の王冠、首飾り、耳飾り、指輪、水入れ…。おびただしい宝の数々です。

「これは、まさしく」と立ち尽くすシュリーマンの脳裏には、子供の頃に本で見た、真っ赤に燃えるトロイの絵がはっきりとよみがえりました。「ホメロスの物語はやはり伝説ではなかった」シュリーマンは、溢れ出る涙をこらえることはできませんでした。

●しかし、多くの考古学者は最初、この遺跡をトロイの遺跡とは誰も認めてくれませんでした。シュリーマンはその後も数々の発掘に成功し、そのたびに莫大な財宝を発見しました。そして68歳の時、現地に考古学者を集めて学会を開催し、誰もが認める「トロイの遺跡」となったのです。彼の物語と生涯はここで終わっています。

これはシュリーマン68年の生涯の実話です。

確たる目的意識があればそれは実現できるという勇気を与えてくれる話です。

コラム編集長 有松勝美


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